今後更なる活性化が期待されるエンジニアコミュニティ。運営のスペシャリスト、松岡光隆、高町咲衣 両氏対談(後編)  

 

 近年活性化する、エンジニアコミュニティについて、スペシャリストの2人とトークする対談企画。

いよいよラストの後編は、今、ビジネス周りで最も語られることの多い“働き方改革”から迫っていく。副業やパラレルキャリアが推奨されつつある近年、コミュニティはどのような役割を果たしていくか、松岡、高町両氏に話を聞いてみた。

 

 

 

働き方改革”の主語は誰か。もっと働きたい、学びたい人材はどこに行けばよいか

福井:最後にお聞きしたいのは今話題の”働き方改革”についてです。

最近は、企業側も副業など推奨していますし、かつてのように一つの企業の中でキャリアを積み上げていったり、スキルアップしたりするのが難しくなってきたから残業はせずにどんどん外に出ていくべきだみたいな声もありますよね。

二人は”働き方改革”についてどのようなテーマでトークしているのですか?

 

松岡:働き方改革やリモートワークが話題になり始めたそもそものきっかけってブラック企業での長時間残業が問題視されたことで、残業をなくす名目として機能しているところが大きいですよね。

だけど、人によってはプログラミングがしたい、もっと学びたい、だけど会社からは帰らされてしまうという事実もあります。

誰を主語にするのか、というのは高町さんとも話し合ったことで、結局企業がいい顔をしたくて、残業を減らしたいだけでやっているのなら、働き方改革なんて言葉が間違っているのかもしれない。

 

福井:それは”働き方改革”ではなくて”働かせ方改革”ですよね。

 

高町:残業がなくなったことで削減された時間で何がしたいとか目的を先にもってやることは必要ですよね。それをどうやって伝えるかとかは松岡さんと話し合っています。

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松岡:今は削減の方向にしか進んでいないけど、もっと働きたいと思っている若者もいるかもしれないし、もっとそれぞれに合った働き方があるはずなんですよね。

リモートワークも選択肢の一つとしてはいいと思うのですが、リモートワークすることで疎外感を感じる人もいるかもしれないし、

色んなパターンのものが出てくるので、何のために”働き方改革”をやっていて、これが正解でというのが読み取れないなとは最近話していても思います。

これだという答えがないから、それを打ち出して語れる人もまだまだいないですし。

 

最初は業務命令で参加したとしても、結果楽しんでくれるのならウェルカム

福井:会社としては、メンバーにこういう勉強会やコミュニティに参加してもらって、刺激を得てもらうのはすごく良いと思うのですが、会社が推奨しだして、業務命令で来たエンジニアが増えたら研修っぽくなっちゃわないかな…?それはどうなのかな…とも思うんです。

 

松岡:運営側についても、自分が運営するメリットを取るのか、来た人のモチベーションをあげたくてやっているのか動機は異なりますが、たとえ業務命令で来たとしても、その場を楽しんでくれて「ここで喋りたい!」と思ってくれたらオッケーだと思います。

自分から積極的に学びに行くぞという人でも命令で来た人でも、結果的に自分から発信したいと思える場になればプラスなのかなって。

 

福井:では松岡さんとしてはそういう未来はウェルカムだと。

 

松岡:ウェルカムですね。コミュニティの意義はコミュニケーションを取らせることなので、なるべく参加者を一人にしたくないというのもあって、1台のスマホを数名で使いながらチームになってクイズ大会をすることもあります。それだけで後々のコミュニケーションに繋がるし、言ってこいと命令されて参加した人でもそこから仲良くなることはできますから。

 

高町:女子会コミュニティではパンを食べたりジュースを飲んだりしながら発表を聞いていることもありますね。

会社の帰りにちょっとカフェでお茶していく?みたいな感覚で寄れる楽しい場所になってほしいです。

 

松岡:あと、5分の中でデモンストレーションするとなると結構、失敗したり動かなかったりして、笑うところもあるんですよ。

プロ中のプロみたいな人が発表するわけじゃないからそこまで堅苦しい雰囲気にもならないんですよね。

コミュニティってそういう失敗する楽しさもあって得られるのはスキルではなくて楽しさかもしれません。

そこで皆さんが喋りたいと思える環境ができれば結果的にはウェルカムですよね。

 

高松:「完璧にしなきゃいけないんじゃないか」って思っていたけど「あ、間違う人もいるんだな」って、そっちの作用もあるかもしれないですね。

 

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松岡:今度はじめて大阪で開催するんですよ、東京から僕たち二人で行って。そこで想いを伝えることで「私も運営に関わりたい」人を見つけたいですね。

 

福井:まるで布教みたいですね。

 

松岡:確かにITっていうより宗教かもしれないですね。お金に繋がらないけれど。

そういう風に思われることもあると思います。

 

福井:エンジニア以外のコミュニティを運営してほしいと言われたらできますか?

 

松岡:できると思いますね。最近エンジニア以外ではPR、広報さんのコミュニティによく参加していますよ。

その業界のソリューションをいかに広報としてPRするかを話し合うので、エンジニア的な専門ではないにしても他にも流用できるんじゃないかな。

 

コンプライアンス、全国展開…エンジニアコミュニティの未来は?

福井:LTなどではその人が実際手がけている事例を話すこともありますよね。話していいこととダメなことがあると思うのですが、コンプライアンスについてはどう捉えていますか?しかるべき手続きを踏んでいない人が多いのかなと思って。

 

松岡:コミュニティでの様子を動画に残していいかどうかくらいは事前に確認していますけど、大手企業から来ている人は展開していいか確認している人が多いですね。ある程度はその人に任せていますが。

この件に関しては、回全体というよりはLTごと、その人それぞれに任せるしかない部分もありますね。

ただ、2年間本気で参加してきたけど事故もなかったし、パワハラやセクハラみたいな問題もありませんでした。

ただ、これからはそのようなことも、参加者同士のもめごとなんかも出てこないとは言い切れないので、意識していかなきゃいけないのかもしれませんね。

コンプライアンスも含めて、これから課題も出てくるだろうけど、結局は参加者一人一人を見なくてはいけないなとは感じます。

都心以外の地方開催だとまた空気も変わってくるだろうし、東京と大阪、ちょっと離れた地方だと当日の参加率も変わってくる予感がします。

こういうコミュニティがあるって情報をゲットしたからとりあえず申し込みしてみて、当日参加するか考えよう、という人もいるし、直前までなかなか申し込み数が伸びないけど前日になってグンと参加数が伸びることもあるでしょうし、働き方に対する意識も

地方ごとに異なるんじゃないかと思っています。

 

福井:非常に面白い話をありがとうございました。またお話する機会を作りましょう。

僕としてはできれば半年後くらいに失敗談も聞きたいですね。

 

 

 

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登壇者紹介
●松岡光隆(チャラ電Mitz)様
 コミュニティプロデューサー。コミュニティー運営芸人。
 Twitterhttps://twitter.com/CharaDenMitz


●高町咲衣 様
 IoT女子で複数のITコミュニティ運営に携わる声優・歌手
 ・Twitterhttps://twitter.com/takamachi1saki
 ・さきブログ:https://sakiot.com/