#VALUE総会議 デザイン思考 【第1回:デザイン思考の目的はナニ?】

全3回の予定で、社内の「デザイン思考」に関する議論を紹介します。
固いけど本質的で楽しい?議論を垣間みて頂ければ幸いです。
 
 
 
<人物紹介>
 

社内で1,2を争う論客。切れ味の鋭いツッコミで話を本質志向や目的志向からずさらず具体的な結論に導く。開発部隊のリーダーS。

 入社2年目。UX知識を体系化しつつ、UX&プロダクトマネージメントコンサルタントとして始動しだしたところのT。

弊社No1営業マンにして元社長のF。幅広い知見や実戦経験を持ち、独自で客観的な視点で物事の本質に切り込む。

 
 (ある日の社内チャット上のやりとりにて・・)

 最近「デザイン思考」について、気になっていろいろ調べているんだよね。

「デザイン思考」って、基本的には
①観察共感

②問題定義

③アイデア創出

④プロトタイピング

⑤検証
と進めていく、非デザイナーがデザイナーのように考えるための方法論ですよね。  

 
図1:一般的なデザイン思考のプロセス図

 

 そうだね。

 

 アレあまり好きじゃないんですよね。プロセスや方法論が画一的で。「ユーザーから聞いた要求をうのみにするな。ユーザーを観察して自分で思考しろ」って言っているだけなんですよね。そんなことはデザイン思考という言葉が生まれる前から人間中心設計を起源とするUXデザイン界隈では常識レベルの話なんですが、「分かりやすいフレームが出てきて、アハ体験した人が騒ぎ出したのかなぁ」という印象です。

 
図2:UXデザインの歴史

 

 確かに当たり前のことしか言っていないようにみえる。でも「それはデザイン思考の本質を理解できていないだけ」なのかもしれないと悩み中なんだ。そこそこ良さそうなまとめを見つけたんだ
   引用:デザイン思考の講義資料 : 藤崎圭一郎の雑思録

 
 

  手法以外にマインドにも言及したものもあるんですね。知りませんでした。UXやデザイン思考界隈の百花繚乱感がよくまとまってますね。私も何かある気がしてきました。少し考えてみます。

 

 

何か思いつきましたか?
 一般的な理解をまとめると
『デザイン思考とは発想の飛躍型稽古である』
『悩むより、先ず頭を動かし行動せよ』
とかいうことじゃないですかね?


やっぱりHOW寄りで、本質に迫れていない気がするんだよね。「そもそもどの文脈で語るべきなのかもよくわからないなぁ」っていう感じなんですよね。
デザイン? ビジネス? エンジニアリング? イノベーションスキルアップ
そこを明らかにした上で目的を言葉にできたら理想的。


よし。今度全社員が参加する【VALUE総会議】の議題にもう少し深堀しましょう。
Tさん、議論のポイントを出してもらえますか。

 
 
 

 (ぅっ、相変わらずの無茶振り)
技術起点のイノベーションに行き詰まりがきているので、デザイン思考はユーザー起点のイノベーションフレームワークとしてもてはやされ
「本当はこういうの欲しいんでしょ?」
が必要になってきているからじゃないですかね。

 
 

  ・・・。
つまりは「デザイン思考はイノベーションが目的」ということだね!その辺りもう少し整理できないかな?

 

    りょ、、、了解です。
(いつの間にか回答者になってしまった・・・「デザイン思考嫌い」って最初に言ったのに。。。)
→しばし回答でず・・・悩み中

   そもそもイノベーションの定義ってなんでしょうか?

 

   ビジネス界では、生産性の革新を目的とした活動のことのようですね。

 

   そうなると、デザインとイノベーションの違いってなんだろう?   

 

 

 

   直接の回答にはなっていませんが、
・市場の開拓者(Market innovetor)
・技術革新者(technology innovator)
という言葉はあるようですが、
・デザイン改革者 design innovator
という言葉は存在しないようです。 


 何が言いたいのかというと、「Designerは元来 innovator 要素を有している」のだと思います。デザインはイノベーションを含むため、包含関係があるんだと考えています。 だから「デザイン思考は、非デザイナーがデザイナー的考え方を真似してイノベーションを起こそうという枠組み」と捉えることができるのではないでしょうか。

 

   背景的には「非イノベーターだと思っていたエンジニア(Engineer)、マーケター(Marketer)などに、創造的考え方をすることを強いる」ビジネスニーズが起きているからと言えるのではないでしょうか。 

 

   design という言葉は「デザイン」って書いてしまうと 既に少しミスリードしてしまうくらい曖昧で、 「設計」という言葉は英訳すると design だったりする。 でも、最近語られているデザインという文脈はもう少し「右脳寄りの効能を持ち込む」ことに意味がありそう。 

 

    ちなみに 右脳、左脳 は巷間で言われるほど機能の分類はなく どちらかというと 脳の部位は複数の部位が複数の機能を分担していてポリバレントな関係にある というのが最近の研究のトレンドらしいです。 もともと右脳が担ってた分野が事故で失われたりすると、それまで使われていなかった左脳の一部が その機能を代替するようになる的な。

 

     あと、この会話示唆に富むなあと思って読んでいます。 

  

   今の我々は「IT+Management」を標榜していますが、 この議論の後「Design+IT+Management」を標榜し始めることあるかもしれません。

 

 

 

「えっ、マジっすか・・・」(そこまで考えているのは、Sさんだけな気がしますが・・・)
もしそうなると我々が Innovation領域、もちろんデザイン領域と技術領域の両方を含む支援に乗り出すことになる。
もちろんモノが画一化し機能が溢れコト(UX)に価値が移る世の中で、サービスやプロダクト開発を成功させるためには必要な領域な気がしますが・・・

 

   「すべてのシステム開発はInnovationである。 」という個人的見解なので、元々我々はイノベーション支援組織である、 という感触はあります。 
これまでは、お客さんがついてこられなくなるので、公言はしてきませんでしたが。 

 

秀玄舎が design に関与(控えめな表現)する意義は 
・PMにおける 「パートナーと同じ目線でプロジェクトやビジネスの成功を思考する」
VALUE定義における「我々は適切な選択肢の提示と主体的な選択の手助けをすることに価値をおく」
という2つの文脈で意味があると思っています。 

 

   「問題解決」の手段として「デザイン」や「イノベーション」を含めた選択肢を共創し、パートナーに「自己実現」を含めて主体的に選択してもらうよう支援する  といった宣言は個人的としては可能な気がしています。
我々の自己実現や自己表現のために「デザイン」や「イノベーション」を主導してはいけないと思いますが、パートナーの自己超越のために選択肢として提示することはアリですかね。 この辺りは社員が集まる総会議で話した方が良さそうですね。

 
→第二回に続く・・・

shu-gensha.hatenadiary.jp